2023年登封滞在記⑤

●18日
朝はやはり王宗仁師父について長護心意門拳を練る。言葉や動きで教えて貰う部分にも当然大切な学びであるのだが同時に、ある意味それ以上に「整」、「勢」といった決まった形に出来ない部分が全身全霊に響いて来る。師父に会わなかった4年の間にいつの間にか眠らされていた部分がいくつかあり、滞在期間毎朝の師父との練功を通じてそのスイッチを再起動された気がする。

午前中は宿で少し落ち着いて過ごす。登封での活動開始の昨日でかなりの情報量が有ったため、その整理に午前中を費やした。

昼前に西十里(登封西部)に胡正生老師を訪ねる。

実は今回の登封での活動期間中のほぼ毎日、少林心意把研究会・日本分会代表の川島直央先生と一緒に行動していた。川島先生は2017年より胡正生老師に師事され、現在は北京体育大学中国武術学院の博士研究生として北京に留学されている。川島先生自身も学校の休みの度に登封を訪れ胡老師に就いて拳を学ばれているが、今回は私が現地の大会に参加するのに合わせ登封に来られ、川島先生自身も大会に出場される。

私はいつも登封での活動は単独行動を常としているが、今回はいずれの行程も川島先生に同行して貰い登封及び鞏義(少林寺の山北地区)の教師窝(武術村)、老拳師をご紹介する事が出来た。私としても伝統少林拳に対し並々ならぬ熱意を持ち理解のある川島先生が居てくれて非常に楽しく充実した道中を過ごせたし、それとこの4年の空白期間ですっかり変わった中国での生活、列車チケットの取り方やスマホでの支払いの仕方、タクシーアプリの使い方など日常で必要な事柄についてその都度教えて頂き大変お世話になった。

さて、胡正生老師の武館事務室を訪ねるとそこには延吉法師が。延吉法師は元々少林寺武僧として少林寺ロサンゼルス分院(アメリカ少林寺文化センター)にいたが2017年に帰国、少林寺に戻った。その間一度日本に来て当会と交流したのがきっかけて現在まで関係が続いている。

● 延吉法師来日(2017年)時のブログ
http://shaolin-net.com/wplriji/index.php/view/456

延吉法師は2019年頃より上海の少林文化中心で活動を始め、普段は通年上海にいるのを知っていたので今回は特に連絡は取っていなかったのだが、まさか偶然彼が登封に一時帰還しており、しかも胡正生老師を訪ねてそれに会うとは思ってもみなかった。これもやはり縁があるという事なのだろう。

延吉法師は今回上海の友人を何人か連れてきており、今後彼らと協力して少林寺の文化を普及していこうという準備をしているとの事だった。

胡正生老師の事務室でしばし皆で歓談した後、武館近くの店で美味しい蒙古焼肉をご馳走になった。

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