2023年登封滞在記⑫

●25日
午前中は劉振傑老師が訪ねて来てくれたので、磨溝の老洪拳について動作名称の再確認をする。

磨溝拳の動作名称については范富中老師から動作を教わりながら一通り聞いて知っていたが、ほんの一部抜けている所があった。 文字による拳譜(動作名称)も持っているのだが、これは一句七言による拳歌の形式をとっているため一部省略されていたり、2つの動作が1つの名前に纏められていたりとはっきりとしない。

そのため、今回旅の後半でやっと自由な時間が出来たので、劉振傑老師にお願いして一動作:一名称でひとつずつ確認していった次第だ。

昼前に動作名称の確認は終わったので、劉振傑老師も一緒に胡正生老師武館に遊びに行き、昼はまたもや美味しい蒙古焼肉をご馳走になってしまった。

午後は胡正生老師の少林寺伝統武術学院で練功を見学する。教えているのは伝統班・国際班教練の楊新会教練。胡正生老師に就いて長年伝統拳一筋に練り込んで来た実力ある教練で、ここ数年は海外へも教えに赴くなど胡老師の信任が厚い。

「伝統」を冠するこの学院でも、やはり伝統拳だけを専門に学ぶ学生は多くはないらしい。聞くに「伝統班はキツイので皆入りたがらない」との事。私からすれば競技主体の套路班も十分にキツイと思う。これは恐らく体力的にキツイのは当然そうなのだろうが、その他に「ひとつを徹底的に練り込む。出来なければ何時までも次には進まない」という伝統的教授方式が、どんどん新しい刺激を求める現代っ子には受け入れ難いのではないかと想像する。

少林耳把陸合拳

楊新会教練と川島先生の耳把陸合拳(六合拳)。拳でもよく息の合っている二人は、プライベートでも仲がよさそう。ちなみにこの耳把陸合拳は胡正生老師が揚桂吾老師に就く前、一番はじめに就いた張広俊老師(1914~1999)より学ばれたもので、登封の大金店鎮に伝わっている代表的な対練套路である。

少林寺伝統武術学院 楊新会教練に剣法を学ぶ

伝統班の教授風景。套路班のような集団教授方式ではなく、かなり自主性が重んじられている印象。じっくりとひとつの動作を何度も繰り返し練り、功夫を積んでいく。

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