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2013年10月 少林寺・登封研修旅行

 2013年10月19日から20日までの9日間、中国河南省登封市を訪ねました。毎年秋の訪中は当会の生徒を連れていくのが恒例で、今回は3名が参加し、研修旅行を通じ大きな成果を得る事が出来ました。

 登封に着いた第一日目、大きな宴が催されました。

 ここ数年で休息に普及した中国版LINEとも言えるアプリ「微信」によって連絡を取り合った、96年~06年頃までの教練・学生30名超が大集合しました。

 かつてこの様な「同窓会」が催された事はありません。王宗仁師父も「こんなに集まるとは思わなかった」と驚かれた様子。

 当時は少年だった皆も、今では故郷で武館を開いたり、または自分で商売を興したりと立派な大人に成長していました。十数年ぶりの再会に思い出話に花が咲き、宴は大いに盛り上がりました。
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まずは会場前で記念撮影。まだ一部です次々と師父に「敬酒」をしに来ます
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あちこちで思い出話に花が咲きます
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まだまだ宴は続きます本日の主役?白酒(56度)

 今回も磨溝村の劉振傑教練の引率により、お二人の老拳師とお会いすることが出来ました。

 陳光栄老師は凌斗祖師爺から枝分かれした「もうひとつの長護心意門」を受け継いでおられ、王宗仁師父とは従兄弟にあたります。陳老師の打たれる長護心意門拳や七星拳は、私が師父より学んだものと基本的には一緒ですが、同一の動作でもやはり伝承者の重視する部分によって解釈と外形に変化が見られるのが、非常に面白い所です。凌斗より伝わる拳訣と内功法という非常に貴重な内容をご教授頂きました。

 今回初めてお会いした凌鉄橋老師には、磨溝では既に失伝したと思われていた関西拳の全套を見せて頂きました。全六節の長い套路です。これまで「関西拳は総合拳」と話には聞いてはいましたが、なるほど確かにこの拳は磨溝に伝わる小洪拳、老洪拳、雲陽拳といった拳の動作より構成された幅広い内容の套路でした。

 これによって磨溝に現存する拳と対打及び兵器は一通り収録できた事になります。陳光栄老から頂いた内容も含め、これで当門の武術に対する研究がまた一歩前進しました。
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磨溝村の小砦に登りました村の全景が展望できます
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劉振傑教練麦の種まきはまだ始まっていませんでした
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陳光栄老師(向かって左)
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凌鉄橋老師と劉振傑教練陸合拳対打
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師父の事務室で拳を検討します
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王宗仁師父と凌鉄橋老師

 登封滞在中は毎朝、王宗仁師父について練功を行いました。研修旅行の一番ベースとなる時間です。

 この滞在期間でどれだけ多くの事を見聞し、また感得する事が出来るかが勝負です。そしてこれはひとえに、各人が普段どれだけ真摯に練功を積み重ねて来たかに正確に比例するものです。

 また普段日本での練功で私がいかに師父の動きの素晴らしさを話して聞かせても、現地で実物を目の当たりにする事には遠く及びません。

 短い期間でしたが集中的に、かつ源流の空気に触れながら練功を行う事により、生徒達はそれぞれのキャリアに応じた最大限の収穫を持ち帰る事が出来たと思います。

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実践と理論、両面から教えを受けます炮拳より「提靴」の示範動作
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午前中は朝に教わった内容を自主練します

 登封にお住まいの呉鳳高老師。生徒達の小洪拳と炮拳、そして小武功を検査して頂きました。

 呉老師はかつて高級工程師(エンジニア)を勤めておられ、そのためか拳の動作や理論に対し、非常に正確で厳しい眼をお持ちです。今回初めて会った生徒の動作についても、一度見ただけで的確にその根本的な問題点を指摘されていました。

 また若い頃には登封各地の多くの拳師を訪ねては拳の交流を持たれていたそうで、少林寺・登封地区の拳について深い見識を持っておられます。生徒達から出た様々な質問にも、淀みなく明確に応えられていたのが印象的でした。

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呉老師より拳の検査を受けます名師の前での演武は緊張します
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炮拳を示す呉老師82歳とは思えない動きのキレです
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呉老師に就いて修行中の李金潮(16歳)ぜひ呉老師の武術を受け継いで貰いたいです

 滞在最終日の前日、少林寺を参拝しました。まずは達磨大師が面壁九年を行った達磨洞に登り、そこから歴代高僧の墓塔が並ぶ塔林へ。最後に少林寺伽藍をゆっくりと参観しました。

 今回行ってちょっと驚いた事。

 少林寺の西にある塔林が、いくつかのブロック毎に低めの柵で囲われていました。2013年に世界遺産に登録されたので、これらを保護するためと思われます。実際、塔に落書きをしたり名前を刻んだりする不届き者がいるので仕方がない事でもあるのですが、塔の細かなレリーフを観察したり、碑文を読んだりといった事が出来なくなったのは個人的には少し残念です

 以前は少林寺院内の千仏殿や白衣殿にも自由に入れて、練功で窪んだ石畳を踏んだり壁画を近くで見たり出来たのですが、年々管理が厳しくなってきて。これも時代の流れでしょうか。人の伝統や文化を大切にする意識がもっと高まって、こういった柵や規制も必要なくなる日がくるといいなと思います。

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達磨洞に着きました倭寇と戦ったという小山和尚の塔
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夕方の西日がよい感じでした
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向こうに見えるのは鐘楼

 18日夜。登封での全ての行程を終え、鄭州より夜行で一路北京へ。修行の後は遊びの時間です。

 19日早朝に北京に着き、宿に直行してチェックイン。少し休んでから北京動物園に遊びに行きました。午後は西単の有名な大型書店「図書大厦」で本を購入、その後故宮を参観し、前門では北京の老舗で買い物を楽しみました。

 夜は建国門にある四川駐北京弁事処二階の四川料理店で、普段北京でお世話になっている方々と集まって宴会を行いました。皆さん中国在住10~20年オーバーの日本人で、それぞれ写真・報道・執筆・旅行など各分野のエキスパートです。同行した生徒達も、中国で永年生き抜いてきた皆さんのパワーを感じていたようでした。有意義なお話を沢山伺い、楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。

 帰国日20日の朝は宿の近くにある公園で練功をしました。この公園はこぢんまりとしていながらもなかなか使い勝手がよく、朝には太極拳や通背拳、八卦掌、八極拳などの民間武術の練功を見ることが出来ます。我々も登封で得た成果を忘れないように、北京の民間武術家に混じって練功を行いました。
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鄭州から夜行で北京へ北京動物園です
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双子のパンダ。寝てました白キツネ。可愛かったです
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私はほとんど虎を観察して過ごしました天安門です
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いつものおやくそく
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歴史文物にこういう落書きをしてはいけません
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扉の飾り
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秋空に映える紫禁城宴会は楽しくてあっという間の一時でした
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宿近くの公園で朝練太極拳を打つおばさんと一緒に
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 毎回そうですが、修行三昧の日々において食べる事は大きな楽しみのひとつです。いわゆるパックツアーの様な豪華絢爛の食事はありませんが、逆に地元に根ざした、その土地の特色ある食べ物を今回も堪能しました。

 但し毎回食べるのに夢中で写真が少ないのが残念です。
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肉まんや餃子を蒸しています朝食のワンタン。具だくさんでいい味です
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蒸したて包子(バオズ)。肉まんです昼ご飯の鴨腿飯
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麻辣タンビールの相方、羊肉串