2023年登封滞在記③

●17日(中編)
范富中老師のお墓参りを終えた後、唐庄に出て軽く昼ごはんを食べて今度は陳光栄老師のお宅に伺った。

陳光栄老師の師父の陳発旺老師は凌斗師太爺(師父の師父の師父)の弟子であり、つまり王宗仁師父と陳光栄老師は門の上では従兄弟関係に当たる。

陳老師とは2013年の春と秋にお会いしたのが最後なので10年ぶり。劉振傑老師を通じて時々のご様子を聞いていた。特に大きな病気はないもののここ数年で膝を悪くされたようで歩くのも少し不自由なご様子。

陳老師からは陳発旺老師に関するお話を伺えた他、長護心意門拳については一つ一つの動作について自ずから立ち上がって細節を示して下さった。凌斗が磨溝の小洪拳を学んで長護心意門拳に精化させる過程で何を考えどう組んでいったか、磨溝に伝わる拳・凌斗の故郷である凌家門に遺る拳、王頂一から伝わる拳、そして凌斗のもう一人の弟子である陳発旺老師からの拳を比較検討するとこれらの変化発展の道筋が明らかになって来る。

今回はじめて判ったのは陳発旺老師は凌斗の弟子であると同時に把兄弟(義兄弟)であり関係が非常によかったという事。拳の伝承において人と人との関係性は非常に重要であると考える。陳発旺老師からの拳は源流である磨溝の拳と比べると動作の解釈がかなり細かくかつ明確に表現されているのだが、同時に要所要所の動作に於いては他の系統よりもむしろ色濃く磨溝の要素を遺しているという事。これは凌斗と陳発旺老師の関係性も大きく影響していると思う。

登封滞在記④へ