2023年登封滞在記④

●17日(後編)
夜、張治乾師叔(師父の弟弟子)に会う。

2015年に張治乾老師のお宅から王頂一師爺の拳譜が発見された。これは74年の冬に張治乾老師が許可を経て書き写した2本の内の一つだ。当時、拳譜は師爺が外に持ち出す事を禁じていたそうなので、 張治乾師叔は王頂一師爺のお宅で書き写したとの事。

2019年にこの拳譜を師父より見せて頂き複写を許されてから、ずっと張治乾師叔にはお会いしたいと思っていたのだがなかなか機会に恵まれず果たせずにいた。その間も拳譜内容の検討研究は続けてきていたのだが、今回ついに直接お目に掛かる事が出来た。

王頂一拳譜については実は2014年に呉鳳高老師よりご本人がやはり王頂一師爺より書き写されたものを頂いておりそれも合わせて研究して来た。同じ原本を持つ二本の拳譜であるがそれぞれ少しずつ異なる部分やはっきりとしない部分があったので、互いを比較検討する事によって拳譜の意味を理解する参考にしていたのだ。

呉鳳高老師については残念な事に2018年に亡くなっている。私が張治乾師叔の拳譜を初めて見たのが2019年であるので呉老師に二本の拳譜間の違いについて確認する機会は失われてしまっていたのだが、今回始めて張治乾師叔にお話を伺う事が叶い多くの部分について確認ができた。

また拳譜を伝えていくという事について、書き写した当時の情況、その時何を考えて写したか、その後どういった経緯で拳譜が遺って来たかについて、当事者にそれを聞くことが出来た経験は今後拳譜を研究していく中で大いに助けになってくれると思う。

登封滞在記⑤へ