少林拳とは

地域と歴史

少林拳とは、中国河南省登封市にある嵩山少林寺とその周辺地域に伝わる武術の総称です。その創始については諸説ありますが、元々は寺院や村落を護る自衛の手段として発生し、長い実践と研究の歴史を経て徐々に門派として成り立っていったと考えられます。

少林寺で武術が行われていた事を示す最も早期の資料に『太宗文皇帝御書碑』という石碑があります。少林寺境内に残るこの碑には、武徳四年(621年) に起こった動乱において、少林寺の武僧らが後に唐の第二代皇帝となる李世民を幇けたという故事が記されています。

ちなみに80年代初頭、李連傑(ジェット・リー)が主演となって中国全土に武術ブームを巻き起こした映画『少林寺』は、この故事に取材して編まれた物語です。

中国武術の原型

少林拳は中国武術各派の中でも比較的早期に成立した門派です。中国には俗に「天下功夫出少林」という言葉がありますが、これは中国武術の多くの門派が元々は少林拳のような原始的な武術から発展したという事を説明しています。同時に少林寺は古代中国に於いて、特に元の時代には中国全土を網羅した武術の交流センターのような役割を担っており、各地の武術が少林寺に伝わり、また同様に少林寺の武術が各地に伝わっていきました。

技法的に見ても少林拳の動きは非常にベーシックな中国武術の身体遣いを表しています。中国武術各派がそれぞれの方向に進化する以前の、最もシンプルで根本的な部分が残っているという点が、敢えて言うならば少林拳の特長であると言えます。

少林拳は言ってみれば水、しかも精製された純水ではなく、多くの鉱物や微生物を含んだ自然の水のようなものであり、そこから研究や工夫によってどのような形にも変化発展でき、また如何ような局面にも対応できる潜在力を持っています。俗に「天下功夫出少林」と称されるのも、このような性質を持っているからなのではないかと考えています。

九龍潭