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宋双平武館

当会の中国研修はいつも、通常の旅行やテレビなどのメディアでは見ることの出来ない、民間の知られざる名師ばかりを訪ねています。別にわざとそうしているわけではありませんが、我々の学んでいるものの守備範囲が、あまり表に出てこない傾向のものなので自然とそうなっているというのがその理由です。

しかし表に出ないからと言って、決して亜流とか傍流という訳ではありません。逆に現在メディアで紹介され、一般に認知されている少林寺とその周辺の姿こそが、近代になって新たに造られたものであり、実はその本流・源流は今なお現地において地下水脈の如く、脈々と静かに護り伝えられて来ているのです。

さて、今回訪ねる予定の拳師も、そういった古くからの渋い武術を墨守している一人。その名を宋双平老師と言います。

彼との出会いは王宗仁師父と出会うほんの少し前、「中国の伯父さん」と呼んでいる崔清振老師の紹介が始まりでした。その当時彼は少林寺の近所にあった「毛沢東専用飛行機」の管理小屋に住んでいたのですが、なぜ少林村に「毛沢東専用飛行機」があったのかは今でも謎です。当時は既にこの歴史有る飛行機を見に来る人もおらず、彼は専ら小屋の前の、土の地面に練功用の杭を立て、砂袋を吊しただけの簡単な場所で日々武術の研究をしていました。また彼には行茹という少林寺の還俗僧(出家から在家に戻った僧)の相棒がおり、この二人に教わった通臂拳と縄鏢、いつくかの功法が私の始めて触れた少林武術でした。

宋双平老師の武術の特長は、套路は数が非常に少なく、専ら功法という武術の独特な鍛錬法、そして縄鏢、三節棍、鴛鴦鉞といった奇門兵器(特殊な武器)を徹底して練り込む事にあります。当然、スピーディーな動きと華麗な跳躍などで美観を競う表演套路などには目もくれません。

特に宋老師の石鎖功は「絶技」と言っても過言ではない程の腕前です。何十キロもある「石鎖」という、石で出来た南京錠のような形をした重りを絶妙なコントロールで操る技は、決して力任せの荒技などではなく、試しに自分で遣ってみれば、全身の協調、力の緩急、タイミングや呼吸を動員した、正に武術的全身鍛錬法であることが解ると思います。

今回研修旅行に参加する人は、ぜひ実際にこの石鎖に触れてみて、「功夫」とは如何なるものかを実感して欲しいと思います。

●向かって右から宋双平、私、行茹、学生。皆若いです。
ファイル 129-1.jpg

●左は奥さんの王雅琴。もともと二人は兄妹弟子。
奥さんもなかなかの遣い手です。
ファイル 129-2.jpg

●これは石鎖ではなく鉄鎖。
これが馬鹿みたいに重たいのですが、細身の彼は軽々と操ってしまいます。
ファイル 129-3.jpg

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