「少林十大拳師」は2000年、登封市体育運動委員会によって選出され
た。同年の10月15日には全国武術少林拳比賽が開催され、ちょうど
これに合わせた形で比賽記念冊子の中で発表されたのが初めだと思う。
名簿を見てみよう。
梁以全(1931)、劉宝山(1931)、王長青(1943)、
陳成文(1926)、崔西岐(1922)、陳五経(1927)、
付志乾(1930)、劉振海(1933)、耿合営(1955)、
王宗仁(1956)。
以上の如く、当代少林拳界を代表する老拳師の錚々たる顔ぶれである。
括弧内は出生年。
梁以全、劉宝山の両拳師は少林武術界でも最も高名な民間武術世家であ
り、それぞれ「鵝坡武術専修院」、「塔溝武術学校」の創始者でもある。
王長青は法号を徳虔と言い、先代少林寺首座の素喜大師の弟子として、
少林寺の拳譜を整理し大量の関連書籍を出版した事で「少林書王」と
称されている。
陳成文と陳五経は兄弟で、陳成文は「鵝坡」、「塔溝」と並び「少林三大
武校」と称される「小龍武院(旧称少林寺武術学校)」の院長陳同山と総
教練陳同川兄弟の父である。
劉振海は徳根の弟子で、登封市体委の職員として現地の民間少林拳の
発掘整理に関わり、自身も書籍や映像教材などの著作がある。
崔西岐、付志乾は世間にはあまり名を現さないが、どちらも登封武林の
重鎮であり名望が高い。
耿合営、王宗仁は70代が大半を占める十大拳師内で最年少の二人である
が、どちらも老前輩の薫陶をよく受け、現役で伝統的な少林拳を体現でき
る貴重な存在である。
この十大拳師に共通するのは、少林武術が現代化(表演化)する以前の、
老一代の功夫触れ、直に古伝の少林拳を学んでいる点である。老一代とは
例えば李根生や郝釋斎、徳根、凌斗、王頂一、梁興紹、劉景文などで、
いずれも辛亥革命、軍閥戦争、国共内戦、抗日戦争、文化大革命などの
混乱期を生きた、少林拳が実際の局面で使用されたほぼ最後の世代で
あると言える。
(文中敬称略)
※人名に一つ一つリンクをはるのは面倒なので省略した。
各人物に関しての詳細は、下記を参照されたし。
http://shaolin-net.com/shaolin/renwu.html