2015年9月訪中 4日目
- 2015/10/16 10:24
- カテゴリー:中国での活動
この日は早朝撮影は無し。師父とゆっくり朝食を摂れました。
食べたのは包子(バオズ=具入りまんじゅう)とゆで卵、それと砂糖を少し入れた豆乳。昨日の教訓から、包子は一個多く食べました。昼ごはん抜きはきついです。
本日第一の撮影場所は中岳廟(中嶽廟)です。中岳廟は中岳嵩山の神を祀り、中国五大霊山(東岳泰山・南岳衡山・中岳嵩山・西岳華山・北岳恒山)の中でも最も規模が大きく、保存の完備された古代建築群です。
嵩山もしくは登封と言うと少林寺ばかりが有名ですが、実はこの中岳廟にも漢代の「太室闕」、宋代の「鉄人」、明代の「五岳真形図碑」等、少林寺にも全く引けをとらない建築・文物が多く現存しています。
しかし今いちインパクトに欠けるのか、こちらは観光客もまばらで、逆にその分静かで穏やかな空気が心地よく感じました。ここもやはり今回が初めてだったので、次回は是非ゆっくりと参観してみたいと思います。
話は撮影に戻ります。この日は天気にも恵まれ環境も穏やか。昨日よりずっとスムーズに撮影を進められました。
実は今から31年前の1984年に、師父はこの場所で『少林海燈法師』という記録映画の撮影を行っています。
師父は当時二十代半ば。年齢相応の気勢に満ちた長護心意門拳を打たれていました。そして五十八になる今年、再び同じ場所で撮影が行われるとは。しかも今度は日本人の弟子を伴って……。師父も何となく感慨深げでしたし、今回私も師父に就いてそれに参加できた事は実に幸せに思い、そして巡り合わせを感じました。
そんなこんなで中岳廟での撮影は15時過ぎに終了。やはり途中お昼は抜き。朝に包子を多めに食べておいて正解でした。
遅い昼食(?)の後、今度は登封の東、磨溝村の近くにある古い関帝廟で撮影を再開しました。
登封には実に多くの古建築や記念碑的な場所が点在しています。この関帝廟もその一つですが、ここまで来ると完全に観光や商業とは無縁となります。地元の人々の信仰や生活に寄り添った、土着の廟といった感じです。
その為か、撮影の始めにちょっとした悶着がありました。元々ここでの撮影に先立っては登封市の管轄部門に話を通してあり、そして現地でも廟主のお婆さんが問題なく門の鍵を開けてくれたのですが。さて始めようかという時に地元の何某が怒鳴りこんできて騒ぐ怒鳴る。
詳しい事情は割愛しますが、幸いひとしきりすったもんだ後に事態は鎮静し、撮影は18時を過ぎた辺りまでかかりましたが無事に終えることが出来ました。やはり何事にも地元には地元のルールがある、という事がよく解った一件でした。
それはそれとして。少し面倒な事もありましたが、この関帝廟については何となく気に入ってしまいました。
全く観光のための整備(という改造)が施されておらず、修繕などもきっと地元の有志らによって少しずつ、行われて来たのでしょう。新しい箇所と古い箇所があちこちでごちゃ混ぜなっています。そんな所が却って「時の流れ」、「人の気持ち」の様なもの感じさせ、何とも言えないよい雰囲気を醸し出していました。
今日も一日お疲れ様でした。さて、翌日はいよいよ撮影最終日です。無事に全て撮り終えられる事を祈り、床に就きました。